あの時、浩之ちゃんが私に聞いたのは何故なんだろう?
あの時、私は最初メイドロボはいらないと言った。
なぜなら、お嫁さんの仕事をみんな取られちゃいそうだったから。
でも、マルチちゃんみたいな子だったら良いとも言った。
なぜなら、マルチちゃんとだったら楽しく家事ができそうだったから。
でも、今見かけるマルチちゃんはあのマルチちゃんとは違う…。
あの子たちに心はあるのだろうか?
マルチの心 −第七話−
昼休みの学食は喧噪と混雑の入り乱れる空間であるが、あかりと綾香はまったく気にしていなかった。
「詳しい原因はわからないにしても、とにかく浩之は悩んでいるわけね。」
「でも、もしかしたら単に寝坊したとか、病気で休んだのかも知れないわよ。」
あかりの作った弁当を食べるのを一時やめて綾香は言った。
「そうかもね。」
あかりはそう答えたが、昨日の様子からすると体調が悪いようには見えなかった。
確かに綾香の言うように急に具合が悪くなったことは否定できないが、それでも病気なんかではないとあかりの心の何処かでそう囁くのだった。
「帰りにでも浩之ちゃんの様子を見に行ってみます。」
「そうね、そうすればあかりも安心するんじゃない?」
笑いながら綾香はそういう。
「ごちそうさま。」
そういって綾香はお弁当箱を洗いに行こうとした。
「あ、そのままでいいよ。あとで私が洗うから。」
「そういうわけにもいかないでしょ。お弁当を御馳走になった上、洗いもせずに返すなんて私にはできないわよ。」
そういうが早いか綾香は弁当箱を洗いに行ってしまった。
洗い終わって戻ってくると綾香は弁当箱を渡しながら、
「機会があったらまた御馳走してね。」
そういってウインクした。
「それじゃあ、そろそろ授業が始まるから私は戻るわね。」
「ええ、私も行かなくちゃ。」」
二人は最後に別れの挨拶を交わすとそれぞれの教室に向かって歩いていった。
最終の講義が終わってからあかりは浩之の家へ向かった。
途中、お昼にお弁当を食べてもらえなかった事が残念だったのか、それとももし本当に病気だったらと考えたのか、夕食のおかずをスーパーで見繕うあかりであった。
浩之の家に到着するといつものようにチャイムを押す。
ピンポ〜ン、ピンポ〜ン。
ピンポ〜ン、ピンポ〜ン。
何度か鳴らすが返事はなかった。
浩之の部屋の窓へと視線をずらすと灯りが点っている。
少なくとも留守ではなさそうだ。
その時、昼間の会話が頭に浮かんでくる。
『でも、もしかしたら単に寝坊したとか、病気で休んだのかも知れないわよ。』
「本当に病気だったのかも…」
「それで熱が高くて動けないとしたら…」
そうつぶやくとあかりは玄関へ向かって歩き始めた。
ノブを回してみるとどうやら鍵は掛かっていないらしい。
そっとドアを開けてのぞき込んでみる。
玄関には浩之の靴があるだけで誰もいなかった。
しかし、靴があるということは浩之も中にいるということで、それでも返事がないというのはやはり病気なんだろうとあかりは思いこんでしまった。
「おじゃまします。」
小さな声で挨拶をしてあかりは中へ上がり込んだ。
普段ならばこのようなことをあかりはしないのだが、浩之がもしかしたら病気かもしれないということがあかりを大胆にさせていた。
居間を覗くがそこには浩之はいなかった。
キッチンに持ってきた荷物を置くと浩之の部屋へ向かって階段を上っていく。
別に悪いことをしているわけではないのだが、何故か忍び足で登っていくあかりであった。
そうして浩之の部屋の前にやってくると静かにドアをノックした。
「浩之ちゃん。いるの?」
「開けるよ。いい?」
あかりはそういってドアを開ける。
あかりがそこで見たものは…。
あとがき
上手くまとまりませんでした。(^^;)
やっぱり経験不足を感じますね。
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