スーパーで他のみなさんにお尋ねしたのが不味かったのでしょう。
参考にはなったのですが、その分時間が経ってしまいました。
この次はこういうことがないようにしませんと。
マルチの心−第二十二話−
台所でマルチはコーヒーの準備を始めていた。
ドリップとフィルターはあったのだが肝心のコーヒー豆の買い置きがなく、マルチはインスタントコーヒーを準備することにした。
そして次の買い物の時に買ってきておこうとメモリにそのことをメモした。
それでも美味しく飲んで欲しいという気持ちからなのだろう、沸かしたお湯を一度カップに入れカップを温めてからコーヒーをいれた。
浩之とあかりの好みが分からなかったので濃くも薄くもないよう量を調整する。
砂糖とミルクも同様だったのでそれも一緒に持っていくことにする。
「お待たせいたしました。」
そういって二人の前にコーヒーカップを置いた。
「お、ありがとうな。」
浩之はお礼を言うとマルチの頭を撫でた。
「あの、どういうことでしょうか?」
撫でられたマルチは何が起こったのか分からないという感じで浩之に問うた。
浩之にしてみれば前のマルチが撫でられるのが好きだったのを無意識のうちに思い出して行ったことであったため深い意味はなかった。
「いや、ただのお礼だ。」
浩之が答えるとマルチはただ一言、
「そうですか。」
「冷めないうちにお召し上がりください。」
と、言うと一歩後ろに引いた。
浩之はブラックのままコーヒーを口にしたが、あかりはミルクと砂糖を加えてから飲んだ。
それを確認したマルチは二人に尋ねた。
「お味の方は如何でしょう。」
「濃さはこれくらいでよろしかったですか?」
浩之もあかりも特に気にならなかったようで丁度良いと答えた。
一息ついたところで浩之が話を切りだした。
「ところで、マルチ。今日はお前のためにプレゼントを買ってきたんだ。」
「うけとってくれるかな?」
「うん、マルチちゃんのために私が選んだんだからね。」
あかりも浩之に続いてマルチに話しかける。
「プレゼント、ですか?」
「私はメイドロボですし、また働き始めたばかりでプレゼントを頂くようなことはしておりませんが。」
これが試作型マルチであれば困惑の表情を浮かべるところなのだろうが、あくまでも無表情にマルチは答えた。
「プレゼントといってもこれからのお前に必要だと思うものを買ってきただけだからそんなにかしこまらないでくれ。」
「そうだよマルチちゃん。いつまでもその洋服を着るわけにはいかないでしょ。」
あかりは自分が既にネタバラシしていることに気付いていない。
「あかり。それじゃプレゼントの意味がなくなるだろ。」
浩之はしょうがねぇなぁという顔であかりを見た。
「まあ、いまあかりが言っちまったけど、いつまでも着た切り雀にしておくわけには行かないからな。」
「あの、私にはもう一着ありますし、家の中ででしたらそれを着ていれば特に問題はないかと。」
「それはあのレオタード風の衣装だろ。」
「あれはあれでいいけど、やはり普段着は必要だからな。」
そういうと買ってきた袋から中身を取り出した。
「これが普段に着るやつ、汚れてもいいように二枚買ってきたぞ。」
「で、これがお出かけ用だ。」
「で、こっちの袋に入っているのが下着ね。」
「やっぱり女の子なんだから身だしなみはきちんとしないとね。」
あかりはにっこり微笑んで袋をマルチに渡した。
マルチは二人にありがとうございますと一言いうと頭を下げた。
「ありがたく頂きます。」
そして出した服を片付け始める。
「おいおい、着替えないのか?」
浩之の言葉にマルチはのちほど着替えさせていただきますと言った。
「ところで浩之さん、そろそろ食事の支度を始めてもよろしいでしょうか?」
「あ、ああ。」
「では、準備をさせていただきます。」
マルチは貰った洋服を持って居間をでていった。
「ねえ、浩之ちゃん。マルチちゃんは喜んでくれたのかな?」
あかりの疑問ももっともだった。
あくまでも無表情で淡々としているマルチを見ていると喜んでいるようには見えなかった。さりとて迷惑とも思っているようには見えない。
「さあな。俺も分からないよ。」
「まあ、お互いつきあい始めたばかりだからこれからだろ。」
浩之はそうは言ったものの内心ではややがっかりしていた。
浩之にしてみれば以前のマルチほどではないにしろもうすこしリアクションが欲しいと思っていた。
二階に荷物を持っていったマルチが降りて来る足音が聞こえた。
居間の前を通る姿をみた浩之とあかりはその姿を見て買ってきて良かったと思った。
マルチはいま渡した普段着に着替えていたのだった。
あとがき
ちょっと更新が遅くなってしまいましたが、最低でも週一のペースは守っていきたいと思ってます。
ただ、このところ文章がうまく書けなくて苦労してます。(^^;)
あと数話すれば少しは楽になるかなと思っていますがどうなりますか。
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