Kanon

深い雪で覆われた街で語られる、小さな奇跡の物語−。


 ONEを作ったスタッフが新ブランドkeyに移籍しての記念すべき第一作。

 それまでコミケのギャルゲー分類としてLeafという一ジャンルだけだったのがこのあとLeaf・keyになったのはご存じの通りである。
 それほどまでに男達の心を掴んだ作品であった。

 ストーリーは親の転勤で叔母の元に引っ越すことになった相沢祐一が7年ぶりにやって来た雪国で少女達と日常を過ごすというごく当たり前の設定である。
 しかし、それは表向きのことで実は7年から10年前にこの地で様々なことがあり、それが物語の骨子となっている。

キャラクター紹介(ネタバレ有り、注意)

 月宮あゆ

 水瀬名雪

 美坂栞

 沢渡真琴

 川澄舞

 このゲームには18禁版、全年齢版、DC版の3種類があり、この順番に発売された。
 以下、その違いについてまとめてみた。

★18禁版

 一番最初に発売された。
 初回限定版と通常版があり、初回限定版にはアレンジCD「anemoscope」がおまけとしてつけられていた。
 通常版にはマウスパッドが同梱されている。
 この初回限定版は確かに初回限定と言われるだけあってそれほど大量に準備されていたわけではなく、実際秋葉でも一週間以内に完売したようだ。
 そのため、おまけについていたアレンジCD「anemoscope」欲しさに中古価格は新品よりも高いという現象が起きてしまった。
 それでも、秋葉ではプレミアが1万円くらいで済んだが、ヤフオクでは4〜5万円で取り引きされていた。
 その反省からかAirでは大量に初回限定版を作り、転売屋を撃退することになった。ちなみにAirの通常版は2001年7月に発売される予定である。

 Kanonがこれほど受けた理由はシナリオの良さと音楽の良さが一番に挙げられる。
 キャラクターに関しては好みの問題もあるので何とも言えないが、この二つに関しては一級品である。
 また、背景グラフィックも綺麗でONEと比べるとかなりの差がある。
 ただし、18禁シーンはおざなりで、あるキャラを除けば肌色シーンを見ずに進むことも可能である。
 また、CGにおいてもポカがあったりした。


★全年齢版

 18禁バージョンのあとに発売された、18禁シーンを削除し、別のCGに換えたバージョンである。
 シナリオ自体は変更されていないが、一部のセリフ回しとかに修正が加えられている。
 一番異なるのはCG自体にだいぶ手直しが入っていることだろう。
 18禁版とは色使いが異なったり、立ち絵CGが増えたり、修正されたりしている。

 コンシューマーへ移植する目的で作られたと思われたが、どうやらそれは間違っていたようだ。
 これに関してはDC版で説明する。

★DC版

 全年齢版にCVをつけただけであり、内容的には何ら変わっていない。
 唯一変わった点というとエンディングの「風の辿り着く場所」がフルコーラスバージョンになっているところと、チビキャラがあるくらいだろう。
 もっともこのチビキャラはKanonビジュアルファンブックに掲載された物をそのまま使っているので目新しさは全くない。

 全年齢版が作られた理由を最初はコンシューマーで同じタイトルを使うためだと私は思っていた。(18禁ゲームのタイトルをそのままコンシューマで使うことができないという話を聞いていたため)
 しかしながら、その後の状況からどうやらそれは間違いで、単にベタ移植するための元を作っていたのだと考えるようになった。
 その理由としてDC版こみパがあげられる。これは全年齢版は作られていないにも関わらず、DC版として発売されるからである。
 それとDC版Kanonの内容が全く全年齢版と同じだったからでもある。
 DC版Kanonはインターチャネルが移植したが、ここは単に移植とCVをつけただけだったようだ。

 さて、このCVであるが、はっきり言って大失敗だと私は思っている。
 特に名雪は最低・最悪といっても良いくらいだ。
 万人が満足するキャスティングというのは不可能なことぐらい知っているが、これほどイメージに合わないのも珍しい。
 まあ、声そのものはそのうち慣れてしまうことがあるので(実際、うる星やつらのサクラさんは最初は違和感を感じたがそのうち慣れて気にならなくなった。)まだ良いのだが、演出が悪いために声とその時の状況との間が合わないシーンが続出した。
 更に全体的に声のトーンが高いため、高校生とは思えず小学生ではないかと思うくらいだった。
 それが原因で美汐のセリフでは妙に大人びた感じがしてしまい、あの中では一番年上ではないかと思うくらいであった。
 私としては名雪は飯塚雅弓がもう少しトーンを落として演じてもらえれば一番あっていたのではないかと思っている。
 と、いうか、プレイしていて名雪っぽいなと感じてしまったシーンがあったのが原因ではあるが。(^^;)

 keyに関してはいいたいことが山ほどあるのだが、これに関しては別の機会に譲ろうと思っている。

 ゲームの内容自体にも結構穴が多く、その辺を突っ込んだらまた面白いだろうなと思ったりしているが、今回は行わないことにする。
 しかし、私に突っ込まれるようでは困るのだが。(^^;)

 差し当たり、ゲームとしてはかなりのできであることは間違いないので一度プレイすることをお奨めする。
 また、難易度もONEと比べたら全然低いので攻略自体も楽である。
 ただし、18禁版を買ったとしてもおかずにはならないので注意が必要ではあるが。(爆)

 なお、全年齢版とDC版はCVの有無以外特に変わっていないのでどちらか片方好きな方をプレイするのがよいだろう。

総合評価:90点/100点満点(PC版)
       75点/100点満点(DC版)

              CV及びその他の点が絡んで低くなってますが、内容的には変わらないので実質は90点です。


文責:あかさ